マルクス・モリトール社

2010年6月3日(木) 

「ゴー・ミヨ」と呼ばれる、ワインの品質評価で定評のあるガイド・ブックが、100点満点の93点と評価するリースリング・スペートレーゼがあります。マルクス・モリトール社のものです。モリトールの所在地はBernkastel-Wehlen村といい、極めつけ有名な日時計(ヴェーレナー・ゾンネンウーア)という超優良なワイン畑があるあたりです。

画像

【写真】有名なヴェーレナー・ゾンネンウーア(日時計)畑にある、まさに日時計。時刻は夕方の5時少し前。

モリトールが所有するぶどう畑の総栽培面積は38ha、年間生産量は20~30万本でモーゼルでは大手にはいります。95%がリースリング。
収穫量は、法律で認められている上限の半分以下である1ha当たり45hLに押さえているとのことです。このように厳しく収穫量を制限しますと、1haから造れるワインは6,000本しかありません。
 収穫の時期には驚かされました。彼らは常に、どこのワイナリーよりも遅く収穫を開始します。より十分に熟成させるためでしょうが、徹底した遅摘みにすることによって生じる、天候不良のリスクの方が心配です。なぜそんなに待つのですかと聞くと、「ぶどうが完熟するというのは、単にエクスレ度(糖度)が規定に達すればよいのではなく、果実が十分に納得できる状態になることです」と返ってきました。では、どのようにするとその納得が得られるのですか、とたずねると「食べてみるのです」。納得しました。
その結果、たとえば2003年に収穫したぶどうの果汁は糖度が高く、99%がアウスレーゼの水準にあり、平均果汁糖度は102エクスレに達したそうです。ちなみに、このときには255~331エクスレというとんでもない糖度に達した貴腐ぶどうもできたそうです。物凄いものですね。
発酵は、ステンレススチールタンクまたは伝統的なオーク材の樽で行われます。現在、オーク材の樽の占める割合は40%ですが、モリトールでは樽の貯蔵庫を拡張して、樽の使用比率を60%にまで上げるつもりです。高品質のワインは、必ず一定期間はオーク材の樽に貯蔵すべきであると考えているようです。
テイスティングは12本。全てリースリングでした。畑の違い、ワインの格の違い、辛口と中辛口の味わいの違い、ヴィンテージの違いととてもよく練り上げられたテイスティングの「実習」でした。
前半の6本は畑違いがメインテーマでしたが、後半の6本は、全てツェルティンガー・ゾンネンウアーすなわちツェルティンガー村の日時計畑ワイン、そうですゴ・ミヨで高得点を獲得した畑です。最後に出されたものはアイスヴァインでした。 
ツェルティンガー・ゾンネンウアー・アイスヴァイン・リースリング1998年10月末に収穫が成功した氷結ワインです。見事な黄金色、蜂蜜とヴァニラの甘い香り、口に含むと上品で濃厚な甘さの中に十分に隠し持った酸味が見事です。ため息が出た、幸せなひと時でした。
そして、あまりにも有名な「日時計」をこの目で見たときには、なるほど、本当に日時計が畑の中にあるのだ・・・と感動しました。日時計は、一辺約2mの正方形の石の板で、それが真南に向いた斜度40度以上ある畑の頂上の岩盤に、垂直に貼り付けられていました。朝の7時から夕方の6時までの数字が書かれてあるのですが、その数字の並び方は、私たちがいつも見る時計とは逆になっています。正午を示す12という数字は、日時計の真下にありました。この日時計畑は、ツェルティンガー村のものとヴェーレナー村のものが横に並んでつながっています。 
モーゼルでぜひとも実現したいことがありました。モーゼル川の曲がりくねっているところを写真に撮ることでした。しかし、実際にトライしてみて、それがとても難しいことに気づきました。小高いところに車で登っても、なかなか思うようにその場所に辿り着けません。それでも何とか、Urzigウルツッヒ村の山側で、モーゼル川がカーブを描いている雰囲気だけは確認できました。

画像

【写真】カーブを描くモーゼル川。時刻は夕方の5時過ぎ。向かって左が西日を浴びているモーゼルの右岸。右岸の遠くに小さく見える教会の先に、日時計がある。